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ストロークス・ゲインド(Strokes Gained)とは?

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1. ストロークス・ゲインド(Strokes Gained)とは何か?

ストロークス・ゲインド(Strokes Gained)は、ゴルフにおいて選手の特定のプレー分野(ドライビング、アプローチショット、ショートゲーム、パッティングなど)がフィールドの平均と比較してどれだけ優れているか、または劣っているかを測定することができるスタッツです。

ストロークス・ゲインドは、マーク・ブローディ(Mark Broadie)氏によって開発され、フェアウェイキープ率や1ラウンドあたりのパット数といった従来のスタッツよりも詳細な分析を提供します。

マーク・ブローディ(Mark Broadie)氏は、ゴルフの「Strokes Gained」統計手法を開発したアメリカの統計学者で、コロンビア大学のビジネススクールの教授です。

彼はゴルフのパフォーマンス分析において革新的な方法を提案し、従来のゴルフ統計(フェアウェイキープ率やパット数など)の限界を克服するために、より詳細で正確なデータ分析を行いました。

ストロークス・ゲインドは、フェアウェイキープ率や1ラウンドあたりのパット数といったようなショットやパットの結果を集計し、その数字を単に数えるものではありません。

ストロークス・ゲインド(Strokes Gained)はプロゴルファーの平均的なパフォーマンスという「基準値」と比較して、選手がどれだけ優れているか、または劣っているかを具体的な数値で示すします。

例えば、選手が長く正確なドライブを打ち、フィールドの平均値と比較してストロークを獲得した場合、これは「Strokes Gained: Off-the-Tee」として記録されます。

同様に、選手がパッティングで平均よりも優れている場合、「Strokes Gained: Putting」というパッティングカテゴリでストロークを獲得します。

ストロークス・ゲインド(Strokes Gained)の計算式は、「プレイヤーがホールを完了するために実際に要した打数」と、「平均的なプレイヤーが要する打数(過去とリルタイムを合計した平均値)」を比較するものです。

このことにより、ゲームのすべての側面・分野におけるパフォーマンスをより詳細に理解することができます。

2. どのようにプレイヤーのスコアが他のプレイヤーと比較されるのか?

プレイヤーのスコアと他のプレイヤーとスコアを比較する方法は、以下のステップで行われます。

(1) 基準値の設定

過去とリアルタイムの膨大なデータを基にして、各ショットや状況で「平均的なプレイヤー」がホールまでにどれくらいの打数を要するかが算出されます。

フェアウェイ、バンカー、ラフなどショットの状況という難易度とホールまでの残り距離が考慮されます。

(2) プレイヤーの実際のショットと基準値の比較

プレイヤーが実際に打ったショットの結果が、基準となる平均値と比較されます。

たとえば、あるホールで平均的なプレイヤーが2打でグリーンに到達する場合、プレイヤーが1打で到達したら「1ストローク獲得」、3打かかった場合は「1ストローク失った」となります。

(3) カテゴリごとの比較

ストロークス・ゲインド(Strokes Gained)は、ドライバーショット、アプローチショット、パッティングなどのカテゴリに分かれています。それぞれのカテゴリでのパフォーマンスを、他のプレイヤーと比較することが可能です。

(4) 総合的な評価

各ショットのストロークス・ゲインド(Strokes Gained)を合計し、そのプレイヤーが全体のフィールドと比較してどれだけ優れていたか、または劣っていたかを評価します。

プレイヤーが得た、または失ったストロークの合計によって、他のプレイヤーとの比較が行われます。

この手法により、単にスコアだけでなく、各ショットごとのパフォーマンスを詳細に比較することが可能となります。

3. ストロークス・ゲインドの主なカテゴリー(ティーショット、アプローチ、パッティングなど)

ストロークス・ゲインド(Strokes Gained)の主なカテゴリーは以下のようなものがあります。

(1) Strokes Gained: Off-the-Tee(ティーショット)

ティーショットでのパフォーマンスを測定します。ドライバーショットやパー3でのティーショットが対象で、フェアウェイにボールを置く精度や距離が重要です。

長く正確なショットを打つほど、ストロークを獲得します。この数字を見ることでそのプレイヤーがティショットでスコアを稼いでいるのか、それとも失っているのかを知ることができます。

(2) Strokes Gained: Approach-the-Green(アプローチショット)

ティーショット以降、グリーンに向けて打つショット(アプローチショット)でのパフォーマンスを測定します。

通常、150ヤード前後のショットやアイアンショットなどが含まれ、グリーンに近づく精度や距離が評価されます。

この数字を見ることでそのプレイヤーがアプローチショットでスコアを稼いでいるのか、それとも失っているのかを知ることができます。

(3) Strokes Gained: Around-the-Green(ショートゲーム)

グリーン周辺からのショートゲーム(チップショットやバンカーショットなど)でのパフォーマンスを測定します。

グリーンに近づけ、パットの難易度を減らすショットが優れたプレイとして評価されます。

この数字を見ることでそのプレイヤーがショートゲームでスコアを稼いでいるのか、それとも失っているのかを知ることができます。

(4) Strokes Gained: Putting(パッティング)

パッティングに特化したカテゴリーで、他のプレイヤーと比較してパットがどれだけ効率的かを測定します。

長距離のパットを沈めたり、平均よりも少ないパット数でホールアウトすることでストロークを獲得します。この数字を見ることでそのプレイヤーがパッティングでスコアを稼いでいるのか、それとも失っているのかを知ることができます。

(5) Strokes Gained: Total(総合)

上記の4つのカテゴリーで得たストロークの合計です。プレイヤーがラウンド全体でどれだけ他のプレイヤーと比較して優れていたか、あるいは劣っていたかを示します。

4. 従来のスタッツ(フェアウェイキープ率やパット数)との違い

ストロークス・ゲインド(Strokes Gained)と従来のスタッツ(フェアウェイキープ率やパット数)との違いには、主に以下のようなものがあります。

(1) 従来のスタッツは「結果のみ」を評価し、ストロークス・ゲインドは「パフォーマンスの質」を評価

例を挙げると、従来からのスタッツであるフェアウェイキープ率は、ティーショットがフェアウェイに着地したかどうかという結果のみを評価します。パット数も、ホールアウトまでに何回パットしたかだけを数えます。

一方、ストロークス・ゲインドは、ショットがどれだけフィールド全体の平均と比べて優れていたか、または劣っていたかを分析し、ショットがスコアを伸ばすことに貢献できているかを測定します。

(2) 従来のスタッツは「単純な数値の合計」で、ストロークス・ゲインドはショットごとの難易度を考慮

フェアウェイにボールを置いた回数や、1ラウンドのパット数といった単純な数値を基にしています。

ショットの難易度や状況(ラフ、バンカー、ワイルドエリアなど)は考慮されません。

ストロークス・ゲインドは、ホールまでの残りの距離や状況(ラフ、バンカーなど)での過去データの平均値を使って、ショットの質を評価します。

たとえば、ラフからのショットとフェアウェイからのショットは、難易度が異なるため、評価基準(平均値)も異なります。

(3) 従来のスタッツでは細かな改善点が見えにくいが、ストロークス・ゲインドは細かい部分まで分析可能

フェアウェイキープ率やパット数はプレイヤーの強みや弱点を全体的にしか捉えられず、正確に改善点を特定しにくい面があります。

しかし、ストロークス・ゲインドは、どの部分で他のプレイヤーより優れているか、逆にどの部分で改善が必要かを詳細に特定することができます。

ドライバー、アプローチ、パッティングなど各要素での正確な評価が可能となっています。

ストロークス・ゲインドは、プレイヤーがどのショット分野で、ツアーの平均的なプレイヤーに対して有利または不利になっているかを明確に示すのに対し、従来のスタッツは表面的な結果のみしか把握できないのが特徴です。

5. ゴルフパフォーマンスを向上させるためにどう役立つか?

ストロークス・ゲインドのスタッツを利用することによって、以下のようなゴルフパフォーマンスの向上に役立てることができます。

(1) 詳細なデータで弱点を明確化

Strokes Gainedは、ティーショット、アプローチ、ショートゲーム、パッティングといった各プレーエリアごとに分析を行います。

これにより、プレイヤーがどの部分で他のプレイヤーに遅れをとっているか、または優れているかを詳細に把握できます。

(2) 練習の優先順位を決定できる

データが具体的な弱点を示すため、プレイヤーはどのスキルに重点的に取り組むべきかを明確にできます。

たとえば、パッティングで多くのストロークを失っている場合、その部分を集中的に練習することで、全体のスコアを改善する効果が期待できます。

(3) 効果的な戦略立案

ストロークス・ゲインドは、どのショットが効果的か、どのような戦略が成功するかを客観的に示します。

これにより、コース戦略の改善や、特定のホールでどのクラブを使用するべきかを決定する助けとなります。

(4) 自分の進捗を確認できる

以前のプレイと比較して、どれだけパフォーマンスが向上したかをこのスタッツにより確認することができます。

トーナメントや練習でのスコアをデータとして蓄積できるため、継続的な成長を追跡することができます。

(5) 他のプレイヤーとの正確な比較が可能

フィールド全体のプレイヤーと比較するため、自分がどのような位置にいるのかをより正確に把握できます。

これにより、他のプレイヤーと競う際に、特定のスキルでどのくらい差をつけているか、あるいは遅れているかが分かります。

(6) コーチングの質を向上させる

コーチやトレーナーは、ストロークス・ゲインドのデータを基に選手のスイングや戦略の改善に取り組むことができます。

データに基づいたフィードバックを提供することで、より効果的な指導が可能です。

ストロークス・ゲインドは、単なるスコアにとどまらない、各プレー分野の詳細な情報を提供します。

そのため、プレイヤーの改善点を特定し、それに対して効果的な対策を講じる助けになります。

6. データの計算方法と基準

ストロークス・ゲインドのデータの計算方法と基準について説明します。

6.1. ストロークス・ゲインドの計算・算出方法

ストロークス・ゲインドは、プレイヤーのショットごとのパフォーマンスをフィールド全体の平均的な基準と比較して算出されます。

その基本的な計算・算出方法は以下の通りです。

(1) ホールアウトに必要な予測打数

過去とリルタイムのデータとを基に、特定の地点(ティー、フェアウェイ、ラフなど)からホールアウトするまでに必要な「平均的な打数」を計算します。

膨大な量の過去のデータが使用され、ホールの距離や状況(例えば、ラフかフェアウェイかなど)によって異なる基準が設定されます。

(2) プレイヤーの実際のショット数

プレイヤーが特定のショットを打った際に、実際にかかった打数と、予測される打数との差を計算します。

プレイヤーが平均よりも少ない打数でホールを進めた場合は「ストロークを獲得」し、逆に多くの打数がかかった場合は「ストロークを失う」ことになります。

例えば、グリーンまで150ヤードの地点での「平均的なプロゴルファー」がホールアウトするのに2.8打かかるとします。

もしプレイヤーがここから1打でグリーンに乗せた場合、残りのパット数を考慮すると、そのプレイヤーはストロークを「獲得」したことになります。

6.2. 基準値の算出方法

基準値は、大規模なツアーデータを元にして算出されます。

このデータには、PGAツアーなどのプロゴルフトーナメントで記録された数万回のショットが含まれています。

これにより、各ショットの距離や状況に応じた平均的な結果が導き出されます。

PGAツアーでは、ショットトラッキング技術(ShotLinkシステム)を使用して各ショットの詳細なデータを収集しています。

このデータは2000年代初期から収集されており、各選手のショットの距離やコースの状況に応じて、さまざまなショットに対する基準値が作られています。

基準値は過去のデータだけでなく、現在のトーナメントデータを加味してリアルタイムで更新されることがあります。

そのため、その年の開催コースのコンディション、最新のプレイスタイル、技術の進歩などによって基準が変わることがあります。

6.3. どのくらい過去のデータが使用されているか

ストロークス・ゲインドの基準値(平均値)は、基本的に直近の数年分のデータを使用して算出されています。

具体的には、直近の数シーズン(通常は2~5年程度)のPGAツアーでのショットデータが基礎となります。

このデータが使われる理由は、ゴルフ技術やコース条件が時間とともに変化するためです。最新のデータも算出の基準に取り入れることにより、選手の各分野の能力の正確な比較を可能にするためです。

ただ、最新のデータだけでは、その年の天候などの突発的なもので基準値が大きく変わってしまう可能性があります。

そのため、常に最新のプレイデータを反映しつつも、過去数年分の安定したデータを元にして算出することにより、信頼性の高い分析を提供するように設計されています。

7. まとめ

ストロークス・ゲインド(Strokes Gained)と従来のゴルフ統計は、プレイヤーのパフォーマンスを測定する方法に大きな違いがあります。まとめとして以下に、主な違いとストロークス・ゲインドの利点と欠点をまとめました。

7.1. 従来のスタッツとの主な違い

(1) 測定の焦点

  • 従来のスタッツ: フェアウェイキープ率、パーオン率、1ラウンドあたりのパット数など、特定の結果に焦点を当てています。
  • ストロークス・ゲインド: 各ショットを基準となる平均と比較して、フィールドに対してのパフォーマンスを測定します。

(2) 詳細と文脈

  • 従来の統計: 全体的な概要は提供されるものの、プレー全体の流れや中身が把握しにくい面があります。たとえば、フェアウェイを外した場合、ボールがフェアウェイのすぐ外にあるか、深いトラブルにあるかに関わらず、同じ結果として記録されます。
  • ストロークス・ゲインド:各ショットの難易度やそのショットが全体のスコアに与える影響を考慮し、詳細な洞察を提供します。

7.2. ストロークス・ゲインドの利点

(1) 総合的な分析の実現

各ショットを状況や残り距離に基づいて評価することで、プレイヤーの強みと弱点をより正確に把握でき、ドライビングの正確性やパッティングなど、改善が必要な特定の分野を特定するのに役立ちます。

(2) コースの難易度の考慮

コースの難易度を考慮し、異なるコースでのパフォーマンスを公平に比較できます。

同じ1アンダーという結果でも、コースごとによって価値が異なります。

例えば、そのコースでのフィールドの平均スコアがイーブンパーであれば、良いプレーとなります。

しかし、平均スコアが3アンダーであれば、あまり良いプレーではなかったと評価することになります。

このようにコースの難易度が考慮されたうえで、選手のスキルの優劣を把握することが可能になります。

(3) 基準値(平均値)による測定と比較

プレイヤーはツアープレーヤーの平均的なパフォーマンスと比較して自分のパフォーマンスを測定することができます。

7.3. ストロークス・ゲインドの欠点

(1) 複雑である

従来の統計と比べて理解や計算が難しくなります。

(2) リソースによる制限

詳細なショットデータを集計するためには、非常に多くの人員を必要とします。

そのため、どこでも実現可能な手法ではありません。

またコンピューターによる自動計算などが必要となるため、高度な統計ツールへのアクセスが必要となります。

(3) データ依存

正確で網羅的なデータ収集に大きく依存しており、すべてのプレイヤーがそのデータにアクセスできるとは限りません。
まとめ

従来の統計はパフォーマンスの基本的な概要を提供しますが、ストロークス・ゲインドはより深く、ニュアンスに富んだ分析を提供します。

そのため、ゲームを微調整したい真剣なゴルファーにとっては強力なツールです。その一方で、複雑さとデータ集計と分析の必要性があるため、簡単に使えるものではないとも考えられます。

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