【PGAツアー】全英オープン2025の概要(7月17日-20日)

153回目の開催となる全英オープンが、2025年7月17日から20日にわたって、北アイルランドのポートラッシュにあるロイヤル・ポートラッシュ・ゴルフクラブで行われます。

その全英オープン2025の概要です。

目次

全英オープンとは?

全英オープン(The Open Championship)は、男子ゴルフの4大メジャートーナメントの中で最も古く、毎年イギリスの様々な場所で開催されます。

歴史的なトーナメントで、時には王室の称号(ロイヤル)を持つ、挑戦的なリンクススタイルのコースで行われています。

トーナメントは、アメリカとメキシコを除く世界中のゴルフのルールを設定しているThe R&Aによって統治されています。

「ロイヤル」コースとは?

イギリスおよびコモンウェルスの「ロイヤル」ゴルフコースは、現君主(イギリス国王)によって与えられる王室の称号を受けています。

この名誉ある称号は、その歴史、名声、またはスポーツへの貢献を認められたゴルフクラブに与えられます。

有名な例としては、ロイヤル・セントジョージズ、ロイヤルとルーン、ロイヤルバークデールなどがあり、いずれも全英オープンのホストコースとなったことがあります。

リンクススタイルとは?

「リンクス」スタイルのコースは、通常沿岸地域に位置し、砂質の土壌、砂丘、自然の起伏のある地形、そして木がほとんどないことが特徴です。

リンクスコースはしばしば強風、堅い地面、背丈の長い草やバンカーなどの自然の障害物予測不可能な天候条件を特徴とします。

これらのコースは、スコットランドやイギリスでのゴルフの伝統的な形式です。

「リンクス」という用語は、古英語の「hlinc」(隆起地または尾根)に由来します。

全英オープンの歴史

最初の全英オープンは、1860年10月17日にスコットランドのプレストウィック・ゴルフクラブで開催されました。

これは、世界最高のゴルファーと広く認められていたアラン・ロバートソンの死後、最高のゴルファーを決定するための設立でした。

プレストウィック・ゴルフクラブのキャプテンであったジェームズ・オグルヴィ・フェアリーがイベントを組織しました。

クラブは1872年にローテーションシステムに移行するまでトーナメントを開催しました。

現在の全英オープンは、スコットランドのセントアンドリュースに拠点を置く「The R&A」によって組織・管理されています。

The R&Aは、2004年にセントアンドリュースのロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブから分離して設立され、それ以前は米国とメキシコを除く世界中のゴルフの統治を担当しています。

全英オープンの特徴

  • ローテーション開催:セントアンドリュース、ロイヤルトゥルーン、カーヌスティ、ロイヤルポートラッシュなど、イギリス全土の著名なリンクスコースがローテーションで使用されています。
  • クラレットジャグ:1873年以来、優勝者に授与される象徴的なトロフィーが存在します。
  • 過酷な自然との戦い:選手たちは、しばしば強風、雨、堅い地面などとの戦いを強いられます。
  • 深いラフとポットバンカー:リンクスゴルフの特徴であるこれらの障害物がコースの難易度を高めています。

フォーマット・予選カットのルール

全英オープンは、通常木曜日から日曜日までの4日間にわたって、18ホールの4ラウンド(合計72ホール)で行われます。

最初の2ラウンドは3人組で、最後の2ラウンドは2人組でプレーします。72ホール後の合計スコアが最も低い選手がクラレットジャグを獲得します。

カットルールは、最初の2ラウンド(36ホール)終了後に適用されます。

カットの結果、上位70人(および同点者)が最終の2ラウンドに進むことができます。

カットを通過できかった選手はトーナメントから除外され、賞金を受け取ることはありません。

開催コースの変遷

全英オープンは、これまで以下のコースで開催されています。

コース名回数開催年
セント・アンドリュース302022, 2015, 2010, 2005, 2000, 1995, 1990, 1984, 1978, 1970, 1964, 1960, 1957, 1955, 1946, 1939, 1933, 1927, 1921, 1910, 1905, 1900, 1895, 1891, 1888, 1885, 1882, 1879, 1876, 1873
プレストウィック241925, 1914, 1908, 1903, 1898, 1893, 1890, 1887, 1884, 1881, 1878, 1875, 1872, 1870, 1869, 1868, 1867, 1866, 1865, 1864, 1863, 1862, 1861, 1860
ミュアフィールド162013, 2002, 1992, 1987, 1980, 1972, 1966, 1959, 1948, 1935, 1929, 1912, 1906, 1901, 1896, 1892
ロイヤル・セント・ジョージズ152021, 2011, 2003, 1993, 1985, 1981, 1949, 1938, 1934, 1928, 1922, 1911, 1904, 1899, 1894
ロイヤル・リバプール132023, 2014, 2006, 1967, 1956, 1947, 1936, 1930, 1924, 1913, 1907, 1902, 1897
ロイヤル・リザム&セントアンズ112012, 2001, 1996, 1988, 1979, 1974, 1969, 1963, 1958, 1952, 1926
ロイヤル・トゥルーン102024, 2016, 2004, 1997, 1989, 1982, 1973, 1962, 1950, 1923
ロイヤル・バークデール102017, 2008, 1998, 1991, 1983, 1976, 1971, 1965, 1961, 1954
カーヌスティ82018, 2007, 1999, 1975, 1968, 1953, 1937, 1931
マッセルバラ61889, 1886, 1883, 1880, 1877, 1874
ターンベリー42009, 1994, 1986, 1977
ロイヤル・シンクポーツ21920, 1909
ロイヤル・ポートラッシュ22019, 1951
プリンスズ11932

ロイヤル・ポートラッシュ・ゴルフクラブ(ホストコース)とは?

ロイヤル・ポートラッシュ・ゴルフクラブが全英オープンの会場となるのは1951年、2019年に続く3回目となります。

2019年大会はシェーン・ローリーが制しています。

ロイヤル・ポートラッシュ・ゴルフクラブは、他にも全英アマチュアが3回 (1960, 1993, 2014)、全英シニアオープンが6回(1995, 1996, 1997, 1998, 1999, 2004)行われています。

基本情報

  • 所在地: 北アイルランド、アントリム県ポートラッシュ
  • 設立: 1888年
  • 種類: プライベート
  • コース: 2つの18ホールコース – ダンルースリンクス(チャンピオンシップコース)とバレーリンクス

全英オープンで使用されるのはダンルースリンクスとなります。

歴史

チャールズ・セントジョージとトーマス・シンクレアを中心とした地元の紳士たちと、北アイルランドの著名な実業家たちによって、1888年に「カントリークラブ」として設立されました。

当初は9ホールのコースでしたが、1889年に18ホールに拡張されました。1892年、ヨーク公(後のジョージ5世)の訪問を受け「ロイヤル・ポートラッシュ・ゴルフクラブ」に改名されました。

オリジナルのコースレイアウトは、有名なスコットランドのゴルファー兼コース設計者であるオールド・トム・モリスによって設計されました。

しかし、1929年にハリー・コルトがダンルースリンクスを再設計し、今日の象徴的なチャンピオンシップコースに変えました。

最も重要なコースの変更は、2019年のオープンチャンピオンシップの前に建築家マーティン・エバートによって行われました。

エバートはダンルースリンクスを現代化するために以下のような重要な改修を行いました。

  • 新しい7番ホールと8番ホール: 以前は使用されていなかった土地から新しい2つのホールが作られ、旧17番ホールと18番ホールに取って代わりました。
  • バンカーの改修: プロ選手にとっての挑戦を増すために、いくつかのバンカーの位置と深さが再構築されました。
  • グリーンの再構築: いくつかのグリーンが伝統的なデザインを維持しながら現代化されました。

コースの特徴・データ

全英オープンで使用されるダンルース・リンクスコースパー71で、チャンピオンシップティーから7,344ヤードに達します。

コースは起伏のある砂丘の中にあり、大西洋を見下ろす美しい景色を誇ります。

ロイヤルポートラッシュは起伏のあるフェアウェイ、難しいバンカー、予測不可能な沿岸の風といったクラシックなリンクスの特徴を持っています。

  • 巨大な砂丘: 自然の起伏のある地形が高低差と挑戦的なライを提供します。
  • 大西洋沿岸の強風: 海からの予測不可能な風がプレーに大きな影響を与えることがあります。
  • 深いバンカー: 特にグリーン周りに戦略的に配置されたバンカーが大きな脅威となります。
  • 速いグリーン: 速いグリーンを特徴としており、微妙な傾斜が最高のゴルファーでも試されます。

コースで使用されている芝の種類は以下のとおりとなっています。

  • フェアウェイ: 主にフェスキューで構成されており、砂質の土壌と乾燥した風の強い条件に耐性があります。
  • グリーン: ベントグラスとポアナグラスの混合が使用されており、滑らかで堅く速いパッティング面を提供します。

ホール・バイ・ホールのデータ

ダンルース・リンクスコースのホールバイホールのデータは以下のとおりとなっています。

スクロールできます
ホール名前パーヤード
1ヒューギーズ4421
2ジャイアンツ・グレイブ5574
3アイラ3177
4フレッド・デイリーズ4482
5ホワイト・ロックス4374
6ハリー・コルツ3194
7カラン・ポイント5592
8ダンルース4434
9P.G. スティーブンソンズ4432
10ヒマラヤズ4447
11タバーン4474
12ドゥ・ヴァレン5532
13フェザー・ベッド3194
14コーズウェイ4473
15スケリーズ4426
16カラミティ・コーナー3236
17パーガトリー4408
18バビントンズ4474

歴代の優勝者・賞金総額・優勝賞金

全英オープンの1995年から2024年までの優勝者、そして年別の賞金総額、優勝賞金は以下の表のとおりとなっています。

スクロールできます
優勝者賞金総額優勝賞金
1522024ザンダー・シャウフェレ$17,000,000$3,100,000
1522023ブライアン・ハーマン$16,500,000$3,000,000
1502022キャメロン・スミス$14,000,000$2,500,000
1492021コリン・モリカワ$11,500,000$2,070,000
2020中止
1482019シェイン・ローリー$10,750,000$1,935,000
1472018フランチェスコ・モリナリ$10,500,000$1,890,000
1462017ジョーダン・スピース$10,250,000$1,845,000
1452016ヘンリック・ステンソン$6,500,000$1,175,000
1442015ザック・ジョンソン$6,300,000$1,150,000
1432014ローリー・マキロイ$5,400,000$975,000
1422013フィル・ミケルソン$5,250,000$945,000
1412012アーニー・エルス$5,000,000$900,000
1402011ダレン・クラーク$5,000,000$900,000
1392010ルイ・ウーストハイゼン$4,800,000$850,000
1382009スチュワート・シンク$4,200,000$750,000
1372008パドレイグ・ハリントン$4,200,000$750,000
1362007パドレイグ・ハリントン$4,200,000$750,000
1352006タイガー・ウッズ$4,000,000$720,000
1342005タイガー・ウッズ$4,000,000$720,000
1332004トッド・ハミルトン$4,000,000$720,000
1322003ベン・カーティス$3,900,000$700,000
1312002アーニー・エルス$3,800,000$700,000
1302001デビッド・デュバル$3,300,000$600,000
1292000タイガー・ウッズ$2,750,000$500,000
1281999ポール・ラウリー$2,000,000$350,000
1271998マーク・オメーラ$1,800,000$300,000
1261997ジャスティン・レオナード$1,600,000$250,000
1251996トム・リーマン$1,400,000$200,000
1241995ジョン・デーリー$1,125,000$125,000

2025年大会の賞金配分・ポイント配分

2025年の賞金配分については情報が確認でき次第、更新する予定です。

それまでは参考として2024年大会のデータを記載しておきます。ポイント配分については変更があった場合のみ差し替えます。

FinishPrizePointsFinishPrizePoints
1$3,100,00075016$212,700120
2$1,759,00040017$202,400115
3$1,128,00035018$193,000110
4$876,00032519$184,900105
5$705,00030020$176,200100
6$611,00027521$168,00095
7$525,00025022$159,60090
8$442,50022523$151,00085
9$388,00020024$142,60080
10$350,60017525$137,60075
11$319,20016526$131,80070
12$282,80015527$127,00065
13$266,00014528$122,60060
14$249,00013529$117,30055
15$231,00012530$111,20050

出場資格の一覧

メジャートーナメントのため、PGAツアーの出場資格だけではエントリーすることができません。

ツアーのプライオリティリストとは異なる独自の基準と優先順位に従い出場権が与えられます。

全英オープンの出場資格は以下のとおりとなっています。

全英オープンゴルフの出場資格
  1. 2025年大会最終日の時点で60歳以下の全英オープン優勝者(2024年までの全優勝者)
  2. 2025年大会最終日の時点で55歳以下の全英オープン優勝者(2024年以降の全優勝者)
  3. 直近10年間の2023年の全英オープン優勝者
  4. 前年の全英オープンでトップ10以内に入った選手
  5. 開催8週前の公式世界ゴルフランキング(OWGR)でトップ50に入った選手
  6. 前年最終のレース・トゥ・ドバイランキングでトップ30に入った選手
  7. 直近3年間のBMW PGAチャンピオンシップの優勝者
  8. 今年のBMWインターナショナルオープンまでのレース・トゥ・ドバイランキングでトップ20に入った選手のうち、まだ予選免除されていない最上位5名の選手
  9. 直近5年間の全米オープン優勝者
  10. 直近5年間のマスターズ・トーナメント優勝者
  11. 直近5年間の全米プロゴルフ選手権優勝者
  12. 直近3年間のザ・プレイヤーズチャンピオンシップ優勝者
  13. 2023年のフェデックスカップポイントリストでトップ30に入った選手
  14. 2025年のトラベラーズチャンピオンシップまでのフェデックスカップ・ポイントリストでトップ20に入った選手のうち、予選免除されていないトップ5選手
  15. 今年のビザ・オープン・デ・アルゼンチンの優勝者
  16. 世界ゴルフランキングのインターナショナル・フェデレーション・ランキングリストでトップ5に入った選手
  17. 前年の日本オープンゴルフの優勝者
  18. 前年の全英シニアオープンの優勝者
  19. 今年の全英アマチュアの優勝者
  20. 前年の全米アマチュアの優勝者
  21. 今年のヨーロピアンアマチュアの優勝者
  22. 前年のマーク・H・マコーマックメダルの受賞者
  23. 前年のアジアパシフィック・アマチュアの優勝者
  24. 今年のラテンアメリカ・アマチュアの優勝者
  25. 今年のオープン・アマチュアシリーズの優勝者
  26. 今年のアフリカ・アマチュアの優勝者
  27. メディカル・エグゼンプション(公傷制度)
  28. オープン・クオリファイング・シリーズ(予選会)

出場資格、予選会については「全英オープン2025の出場資格と有資格者」に詳細にまとめています。

出場予定選手

出場資格(予選免除)を有している選手は以下のとおりとなっています。出場のコミットメントまではしてないことにご注意ください。

  1. 松山英樹
  2. アクシャイ・バティア
  3. アダム・スコット
  4. アン・ビョンフン
  5. アーニー・エルス
  6. アーロン・ライ
  7. イム・ソンジェ
  8. ウィンダム・クラーク
  9. キャメロン・スミス
  10. キーガン・ブラッドリー
  11. クリス・カーク
  12. クリスチャン・ベザイデンハウト
  13. コリン・モリカワ
  14. ザック・ジョンソン
  15. サヒス・ティーガラ
  16. サム・バーンズ
  17. ザンダー・シャウフェレ
  18. シェーン・ローリー
  19. ジャスティン・トーマス
  20. ジャスティン・レナード
  21. ジャスティン・ローズ
  22. ジョン・デーリー
  23. ジョン・ラーム
  24. ジョーダン・スピース
  25. スコッティ・シェフラー
  26. スチュワート・シンク
  27. スリストン・ローレンス
  28. ゼップ・シュトラカ
  29. タイガー・ウッズ
  30. ダスティン・ジョンソン
  31. ダニエル・ブラウン
  32. ダレン・クラーク
  33. テイラー・ペンドリッシュ
  34. デビッド・デュバル
  35. トッド・ハミルトン
  36. トニー・フィナウ
  37. トミー・フリートウッド
  38. トム・ホゲ
  39. パトリック・カントレー
  40. パドレイグ・ハリントン
  41. ビクトル・ホブラン
  42. ビリー・ホーシェル
  43. フィル・ミケルソン
  44. ブライソン・デシャンボー
  45. フラチェスコ・モリナリ
  46. ブルックス・ケプカ
  47. ベン・カーティス
  48. ヘンリック・ステンソン
  49. ホセ・ルイス・バリェステル
  50. ポール・ローリー
  51. マシュー・ジョーダン
  52. マチュー・パボン
  53. マシュー・フィッツパトリック
  54. ライアン・フォックス
  55. ラッセル・ヘンリー
  56. ルイ・ウーストヘイゼン
  57. ルズヴィ・アベリ
  58. ロバート・マッキンタイア
  59. ローリー・マキロイ
  60. K.J.チョイ

各選手の出場資格(予選免除)については「全英オープン2025の出場資格と有資格者」に詳細にまとめています。

テレビ放送・ネット配信

2025年の全英オープンのテレビ放送、ネット配信のメディア、日時については情報が確認でき次第、更新する予定です。

それまでは参考として2024年の全英オープンの情報を掲載しておきます。

2024年はゴルフネットワーク(ケーブル、スカパー、ネット配信)とU-NEXT(ネット配信)で生中継されましたが、地上波、衛星放送(BS)での中継はありませんでした。

テレビ放送

ゴルフネットワーク (CATV・CS

  • 第1ラウンド:7月18日 (木) 14:30~
  • 第2ラウンド:7月19日 (金) 14:30~
  • 第3ラウンド:7月20日 (土) 18:00~
  • 第4ラウンド:7月21日 (日) 17:00~

ネット配信

U-NEXT

  • 第1ラウンド:7月18日 (木) 14:30~
  • 第2ラウンド:7月19日 (金) 14:30~
  • 第3ラウンド:7月20日 (土) 14:30~
  • 第4ラウンド:7月21日 (日) 14:30~
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