女子5大メジャートーナメントとは
男子ゴルフではマスターズ・トーナメント、全米プロゴルフ選手権、全米オープン、全英オープンの4つのトーナメントがメジャートーナメントとなっています。
その一方で女性についてはシェブロンチャンピオンシップ、全米女子プロゴルフ選手権、全米女子オープン、全英女子オープン、エビアンチャンピオンシップの5つがメジャートーナメントとなっています。厳密にいえばこの5つのトーナメントはアメリカのLPGAのメジャートーナメントとなります。
1.1. シェブロンチャンピオンシップ
シェブロンチャンピオンシップはその年の最初のメジャーして4月に開催されています。大会そのものは1972年から始まっていますが、メジャートーナメントとなったのが1983年です。
名称の変遷が多いトーナメントで以下のように変更されてきています。
期間 | トーナメント名称 |
---|---|
1972 – 1980 | コルゲート・ダイナショア・ウィナーズサークル |
1981 | コルゲート・ダイナショア |
1982 | ナビスコ・ダイナショア・インビテーショナル |
1983 – 1999 | ナビスコ・ダイナショア |
2000 – 2001 | ナビスコチャンピオンシップ |
2002 – 2014 | クラフトナビスコチャンピオンシップ |
2015 – 2021 | ANAインスピレーション |
2022- | シェブロン・チャンピオンシップ |
ANAはAll Nippon Airwaysの略で全日空が冠スポンサーとなった期間が7年ほどありました。2021年10月に6年間のスポンサー契約をシェブロンと結んでいるため、特に問題がなければ2027年まではシェブロンチャンピオンシップの名称が続くことになりそうです。
1.2. 全米女子プロゴルフ選手権
2015年からは LPGAとPGAオブ・アメリカがパートナーシップを結んで運営されることになり、男子の全米プロゴルフ選手権の姉妹トーナメントとなりました。これに伴い男子の全米プロゴルフ選手権にちなみ全米女子プロゴルフ選手権に名称が変更されています。
メジャートーナメントとなったのは1955年からです。
全米女子プロゴルフ選手権の名称の変遷は以下の表のとおりとなっています。
期間 | トーナメント名称 |
---|---|
1955 – 1970 | LPGAチャンピオンシップ |
1971 – 1972 | イブLPGAチャンピオンシップ |
1973 – 1986 | LPGAチャンピオンシップ |
1987 – 1993 | マツダLPGAチャンピオンシップ |
1994 – 2000 | マクドナルズLPGAチャンピオンシップ |
2001 – 2003 | マクドナルズLPGAチャンピオンシップ presented by AIG |
2004 – 2009 | マクドナルズLPGAチャンピオンシップ presented by コカ・コーラ |
2010 | LPGAチャンピオンシップ presented by ウェグマンズ |
2011 – 2014 | ウェグマンズLPGAチャンピオンシップ |
2015 – | KPMG女子プロゴルフ選手権 |
1.3. 全米女子オープン
5つあるLPGAのメジャートーナメントの中で最も歴史が古いのが全米女子オープンです。トーナメントが開始したのが1946年ですが、メジャートーナメントとして認定されています。LPGAが発足したのが1950年です。
もともとはWPGA (Women’s Professional Golfers Association) によって運営されてきましたが、1953年からはUSGA(United States Golf Association) が運営しています。
メジャーのトーナメントの中でもっとも賞金が高く、2022年時点で賞金総額1000万ドル(約14億円)、優勝賞金180万ドル(2億5200万ドル)となっています。
1.4. エビアンチャンピオンシップ
エビアンチャンピオンシップは1994年からエビアンマスターズと開始された時点ではLPGAのメジャートーナメントではなく、ユーロピアン女子ツアー(LET)の単独イベントでした。
2000年から2012年まではエビアンマスターズの名称LPGAとユーロピアン女子ツアーとの共同開催イベントになりました。宮里藍はこの共同開催イベントの時に優勝を2度果たしています。
2013年からは名称はエビアンチャンピオンシップとなり、LPGAとユーロピアン女子ツアーと共同開催のままメジャートーナメントに認定されるようになりました。
1.5. 全英女子オープン
全英女子オープンは2001年からLPGAのメジャーとして認定されるようになりました。もともとはカナダ女子オープンがLPGAが認定するメジャーの一つだったのですが、タバコの広告に対する規制強化とともに冠スポンサーを失いました。
今もカナダ女子オープンは行われ、カナダオープンは引き続きLPGAイベントではあります。しかし、スポンサー撤退ををきっかけにカナダ女子オープンはメジャートーナメントではなくなり、代わって全英女子オープンがLPGAが認めるメジャートーナメントの一つに昇格しました。
2020 – | AIG全英女子オープン |
2019 | AIGブリティッシュ女子オープン |
2011 – 2018 | リコー全英女子オープン |
1994 – 2010 | ブリティッシュ女子オープン |
1987 – 1993 | ウィータ・ビックス・ブリティッシュ女子オープン |
1986 | ブリティッシュ女子オープン |
1985 | バーベリー・ブリティッシュ女子オープン |
1983 – 1984 | 日立・ブリティッシュ女子オープン |
1979 – 1982 | プリティポリー・ブリティッシュ女子オープン |
1976 – 1978 | ・ブリティッシュ女子オープン |
キャリアグランドスラムの変遷
男性ではメジャートーナメントすべてで優勝するキャリアグランドスラムは、長期間にわたりマスターズ・トーナメント、全米プロゴルフ選手権、全米オープン、全英オープンの4つに勝つこととなっています。
男性は長くこの4つのトーナメントを制すことをキャリアグランドスラムと呼んでいるのですが、女性の場合はメジャーのトーナメントの入れ替わりがあったため、キャリアグランドスラムの中身も変わっています。
キャリアグランドスラムの中身・基準と達成者を、このページではまとめています。
2.1. ルイーズ・サグス、ミッキー・ライト
ルイーズ・サグス、ミッキー・ライトのころのキャリアグランドスラムの基準は「ウエスタン女子オープン(Women’s Western Open)」「LPGAチャンピオンシップ(LPGA Championship)」「全米女子オープン(US Women’s Open)」「タイトルホルダーズチャンピオンシップ(Titleholders Championship)」の4つを制すことになっています。
ウエスタン女子オープンは1967年に終了し、タイトルホルダーズチャンピシップは1972年を最後にそのあとは行われていません。LPGAチャンピオンシップは現在の全米女子プロゴルフ選手権と名称が変更して継続していて、全米女子オープンは変わらずにLPGAのメジャーとされています。
Women’s Western |
LPGA | U.S. Women’s |
Titleholders | |
---|---|---|---|---|
M.ライト | 3勝 | 4勝 | 4勝 | 2勝 |
L.サッグス | 4勝 | 1勝 | 2勝 | 4勝 |
2.2. ジュリ・インクスター、パット・ブラッドリー
「クラフトナビスコ・チャンピオンシップ(Kraft Nabisco Championship」「LPGAチャンピオンシップ(LPGA Championship)」「全米女子オープン(US Women’s Open)」「デュ・モーリエクラシック(du Maurier Classic)」となっています。
クラフトナビスコ・チャンピオンシップは現在はシェブロンチャンピオンシップと継続されています。LPGAチャンピオンシップは全米女子プロゴルフ選手権に名称が変更されて続いています。全米女子オープンは現在もそのままの名称で継続しています。
デュ・モーリエクラシックは現在もカナダ女子オープンとして続いています。ただ、このデュ・モーリエはたばこ会社の名称で、タバコなどの広告の規制強化をきっかけに冠スポンサーではなくなりました。それ以降デュ・モーリエ(カナダ女子オープン)はLPGAのメジャーから外れ、全英女子オープンがメジャーとして認定されることになりました。
Kraft Nabisco | LPGA | U.S. Women’s | du Maurier | |
---|---|---|---|---|
J.インクスター | 2勝 | 2勝 | 2勝 | 1勝 |
P.ブラッドリー | 1勝 | 1勝 | 1勝 | 3勝 |
2.3. カリー・ウェブ
カリー・ウェブのキャリアグランドスラムはスーパーグランドスラムとも呼ばれています。
現在はシェブロンチャンピオンシップになっている当時はANAインスピレーション(ANA Inspiration)、現在は全米女子プロゴルフ選手権となっている当時のLPGAチャンピオンシップ、全米女子オープン(U.S. Women’s Open)に勝っています。
カリー・ウェブの場合、さらに1999年にデュ・モーリエに勝ち、さらに2001年からデュ・モーリエに代わりメジャーとなった全米女子オープンで2002年に勝っています。つまり異なる5つのメジャーで優勝していることになります。
この時点ではエビアンチャンピオンシップがメジャーになっていないので、異なる5つのメジャーを勝つというのは非常にまれな偉業で、カリー・ウェブしか達成者いないためスーパーグランドスラムとも呼ばれているようです。
Inspiration | LPGA | U.S. Women’s Open | du Maurier | Women’s Open | |
---|---|---|---|---|---|
K.ウェブ | 2勝 | 1勝 | 2勝 | 1勝 | 1勝 |
2.4. アニカ・ソレンスタム
アニカ・ソレンスタムは現在はシェブロンチャンピオンシップとなっている「クラフトナビスコ・チャンピオンシップ(Kraft Nabisco Championship)」、全米女子プロゴルフ選手権に名称が変更した「LPGAチャンピオンシップ(LPGA Championship)」、全米女子オープン(U.S. Women’s Open)、全英女子オープン(Women’s Open)で優勝しています。
アニカ・ソレンスタムが現役を引退した時点ではエビアンチャンピオンシップがメジャーに昇格していません。そのため当時4つのメジャーを制しているためキャリアグランドスラムを達成したと認定されています。
Player | Kraft Nabisco | LPGA | U.S. Women’s Open | Women’s Open |
---|---|---|---|---|
A.ソレンスタム | 3勝 | 3勝 | 3勝 | 1勝 |
2.5. 朴仁妃
朴仁妃は当時ANAインスピレーション(ANA Inspiration)となっていたシェブロンチャンピオンシップ、全米女子プロゴルフ選手権(Women’s PGA Championship)、全米女子オープン(U.S. Women’s Open)、全米女子オープン(Women’s Open)で優勝しています。しかし、2013年からメジャーに昇格したエビアンチャンピオンシップを制していません。朴仁妃は現役をそれ以降も続けているのですが、エビアンチャンピオンシップでは優勝できていません。しかし、4つのメジャーを制したことでキャリアグランドスラムを達成したと認定されています。
Inspiration | Women’s PGA | U.S. Women’s Open | Women’s Open | The Evian Championship | |
---|---|---|---|---|---|
朴仁妃 | 1勝 | 3勝 | 2勝 | 1勝 | — |
2.6. まとめ
実は現在のLPGAの5つのメジャートーナメントである「シェブロンチャンピオンシップ」「全米女子プロゴルフ選手権」「全米女子オープン」「全英女子オープン」「エビアンチャンピオンシップ」をすべて制している選手というのは存在しません。
5つのメジャーをすべて制覇するキャリアグランドスラムを成し遂げる選手が現れることが待たれます。
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