先発投手の獲得に動いていたドジャースですが、FA市場での補強に成功したようです。
サイ・ヤング賞2度の左腕エースの獲得に成功
サンフランシスコ・ジャイアンツとの契約をオプトアウトしてFAを選択したブレイク・スネルがドジャースと合意したことが報じられています。
ドジャース球団側はこの情報を認めていませんが、ブレイク・スネル本人が自身のインスタグラムにドジャースのユニフォームを着た画像をアップしています。
ブレイク・スネルは2年6200万ドルでジャイアンツと契約しましたが。1年目の契約終了後に破棄してFAを選択できる権利を有していました。
1年目の年俸が3200万ドルだったのですが、残りの1年3000万ドルを破棄してFAを選択したことになります。
契約は5年間で総額1億8200万ドル、年平均3640万ドルということになります。ただ、大谷翔平と同様に後払いがあり、それが6000万ドル程度だと伝えられています。
そのため、ぜいたく税に加算される額はもっと少なくなる見込みで、総額では1億6000万ドル程度の契約として評価される見込みです。つまり、ぜいたく税(CBT)の額は3200万ドル程度が追加されることになります。
1億8200万ドルの契約のうち「契約金が5200万ドル」となっていて、「全球団へのトレード拒否権」「トレードとなった場合の500万ドルのボーナス」が含まれています。その一方で契約を途中で破棄できるオプトアウトは付帯されていないと報じられています。
エース級を揃えた先発ローテに
ブレイク・スネルは2024年3月19日と契約するのが遅れたこともあり、20試合104イニングにとどまりましたが、防御率3.12、奪三振145,WHIP1.05と良い成績を残しました。
与四球率(9イニングあたりの平均与四球)は3.8とやや多めですが、奪三振率は12.5と先発投手として図抜けた数字を残しています。
特に最後の14試合の登板の内容は圧倒的で、14試合80回1/3で防御率1.23、奪三振114、与四球39、被打率.123と素晴らしいものでした。
ブレイク・スネルの年度別成績は以下の表のとおりとなっています。
年 | 年齢 | 所属 | 試合 | 先発 | 投球回 | 防御率 | 勝利 | 敗北 | WHIP | 奪三振率 | 与四球率 | 被安打率 | 被本塁打率 | FIP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2016 | 23 | TBR | 19 | 19 | 89 | 3.54 | 6 | 8 | 1.62 | 9.9 | 5.2 | 9.4 | 0.5 | 3.39 |
2017 | 24 | TBR | 24 | 24 | 129.1 | 4.04 | 5 | 7 | 1.33 | 8.3 | 4.1 | 7.9 | 1 | 4.19 |
2018 | 25 | TBR | 31 | 31 | 180.2 | 1.89 | 21 | 5 | 0.97 | 11.0 | 3.2 | 5.6 | 0.8 | 2.94 |
2019 | 26 | TBR | 23 | 23 | 107 | 4.29 | 6 | 8 | 1.27 | 12.4 | 3.4 | 8.1 | 1.2 | 3.32 |
2020 | 27 | TBR | 11 | 11 | 50 | 3.24 | 4 | 2 | 1.20 | 11.3 | 3.2 | 7.6 | 1.8 | 4.35 |
2021 | 28 | SDP | 27 | 27 | 128.2 | 4.20 | 7 | 6 | 1.32 | 11.9 | 4.8 | 7.1 | 1.1 | 3.82 |
2022 | 29 | SDP | 24 | 24 | 128 | 3.38 | 8 | 10 | 1.20 | 12.0 | 3.6 | 7.2 | 0.8 | 2.8 |
2023 | 30 | SDP | 32 | 32 | 180 | 2.25 | 14 | 9 | 1.19 | 11.7 | 5 | 5.8 | 0.8 | 3.44 |
2024 | 31 | SFG | 20 | 20 | 104 | 3.12 | 5 | 3 | 1.05 | 12.5 | 3.8 | 5.6 | 0.5 | 2.43 |
9年通算 | 211 | 211 | 1096.2 | 3.19 | 76 | 58 | 1.22 | 11.2 | 4.1 | 6.9 | 0.9 | 3.35 |
キャリア通算でも奪三振率は11.2となっていますので、対戦する打者をねじ伏せることのできる力を持った投手です。
ブレイク・スネルの球種と平均球速、被打率などのデータは以下の表のとおりとなっています。データは2024年シーズンのものです。
球種 | 投球数 | 投球割合 | 平均球速(マイル) | 平均球速(キロ) | 奪三振 | 被打率 |
---|---|---|---|---|---|---|
フォーシーム | 941 | 46.82% | 96.1 | 154.6 | 51 | .190 |
チェンジアップ | 353 | 17.56% | 85.7 | 137.9 | 22 | .241 |
スライダー | 200 | 9.95% | 88.9 | 143.0 | 14 | .177 |
カーブ | 516 | 25.67% | 81.3 | 130.8 | 83 | .106 |
投球の5割近くに達するフォーシーム・ファーストボールは平均で96.1マイル(154.6キロ)と高速で、しかも被打率は.190と攻略な困難なレベルの球種です。
このフォーシームで三振を奪うことができているのですが、さらに強力なのがカーブで、被打率は.106という圧倒的な数字を残していて、三振を奪うときの決め球としても有効です。
この強力なフォーシームとカーブが投球の組み立ての中心で、そこにチェンジアップとスライダーを織り交ぜる投球スタイルとなっています。
サイ・ヤング賞を2018年のレイズ時代、2023年のパドレス時代に獲得するなど、実力は折り紙付きです。ただ、懸念されるのはメジャー通算9年のうち、180イニングを投げたのはサイ・ヤング賞をとった2年だけという点です。
タイラー・グラスノーもそうでしたが、能力が高くてもマウンドに立ち続けることができなければ、他のところにしわ寄せが行ってしまいます。その点はドジャース全体の課題としてあるため、今後の対応が注目されます。
これで2025年の先発ローテは大谷翔平、山本由伸、タイラー・グラスノー、ブレイク・スネルと4人は確定したことになります。また、この結果、ドジャースがウォーカー・ビューラーやジャック・フラハティと再契約する可能性は低くなったと言えそうです。